― 材質ごとの個性と、塗り回数で整える全体バランス ―
こんにちは。
さとう塗そうです。
ウッドデッキ、破風板、軒天、板張り外壁、濡れ縁、玄関柱…。
東信地区(佐久・小諸・軽井沢)でお仕事をさせていただいていると、木部を大切にされているお住まいに多く出会います( *´꒳`*)
木はあたたかく、やわらかく、時間とともに表情を変えていく魅力的な素材です。
ですがその一方で、紫外線や雨、雪、寒暖差の影響を強く受ける“繊細な素材”でもあります。
今日はそんな木部塗装について、
- 材質によって色の濃淡が変わる理由
- 全体バランスを整えるための塗り回数の考え方
- 代表的な劣化症状とメンテナンスのタイミング
を、できるだけわかりやすくお伝えします。
「そろそろ塗り替えかな?」
そう思っている方の背中を押す内容ではなく、
【今の状態を理解するきっかけ】になるブログになれば嬉しいです😊
1. なぜ同じ塗料・同じ色なのに、仕上がりが違うの?
「この色でお願いします」と見本を選んでいただいても、
実際に塗ると「思っていたより濃い」「板ごとにムラがある」と感じることがあります。
これは施工ミスではなく、木の個性によるものです。
● 材質による吸い込みの違い
代表的な木材を挙げると…
- 杉(すぎ)
- ヒノキ
- レッドシダー
- 米松(ベイマツ)
- 唐松(からまつ)
それぞれ木目の粗さ、油分量、導管の大きさが異なります。
例えば杉は柔らかく吸い込みやすい。
一方でヒノキは比較的目が詰まっていて油分が多いため、同じ塗料でも発色が穏やかで薄くなります。
つまり、
同じ色を塗っても、吸い込み量が違えば色の出方が変わるのです。
同じインクを使っても、和紙とコピー用紙で色味が違って見えるのと一緒です。
木は一枚一枚が自然素材。
塗膜を作らない含浸タイプの塗料では、
【完全に均一】にはなりません。
仕上がりを均一にするためには、
ペンキ仕上げにする必要があります。
2. 全体のバランスを整えるために、塗り回数を変える
ここが、私たちが特に大切にしているポイントです。
木部塗装は「2回塗りだから2回塗る」と機械的に決めるものではありません。
● なぜ塗り回数を調整するのか?
例えば、
- 日当たりの良い南面 → 乾燥が進み吸い込みが激しい
- 北面 → 比較的状態が良い
- 節の多い板 → 部分的に色が濃く出る
- 新しい板と既存の板が混在している
このような条件が重なると、
同じ回数では全体の色が揃いません。
そこで私たちは、
- 吸い込みが強い部分には1回多めに
- 色が乗りやすい部分は抑え気味に
- 板ごとに様子を見ながら塗り重ねる
といった調整をしています。
これは「色を濃くするため」ではなく、
建物全体を一枚のキャンバスとして見たときに、調和させるためです。
【遠目に見たときの一体感】
これが仕上がりの美しさを決めます。
3. 木部の代表的な劣化症状
では、どんな状態になったらメンテナンスを考えるべきなのでしょうか?
東信地区の気候(寒暖差・積雪・強い紫外線)を踏まえると、
次のような症状が代表的です。
① 色あせ(退色)

一番最初に現れるサインです。
塗膜の樹脂が紫外線で分解され、
顔料だけが残った状態になります。
触ると粉っぽく感じることもあります。
これは【防御力が弱っている】サイン。
まだ木材自体は健全でも、放置すると次の段階へ進みます。
② ささくれ・毛羽立ち

表面の繊維が浮き上がり、
手で触るとザラザラする状態。
塗膜がなくなり、木が直接紫外線や雨を受けている状態です。
この段階では、
下地処理でどれだけ整えられるかが仕上がりを左右します。
ここを丁寧に整えないと、
どんなに高価な塗料でも性能を発揮できません。
③ ひび割れ(クラック)

乾燥と湿潤を繰り返すことで、
木が収縮し、割れが発生します。
小さな割れでも、そこから水が侵入すると内部腐朽の原因になります。
特に別荘では、
長期間閉め切ることが多いため湿気がこもりやすく、注意が必要です。
④ 黒ずみ・カビ・藻

北面や湿気の多い場所に多く見られます。
見た目の問題だけでなく、
木材内部に水分が溜まりやすい環境であることのサインでもあります。
⑤ 腐朽・欠損
ここまで進むと、
塗装だけでは対応できない場合もあります。
一部張り替えや補修を行い、
その上で塗装する必要があります。
「もっと早く塗っていれば…」
というケースも正直少なくありません。
4. メンテナンスのタイミングは「年数」だけではない
よく「何年で塗り替えですか?」と聞かれます。
確かに目安はあります。
ですが、年数だけでは判断できません。
- 日当たり
- 風通し
- 樹木の有無
- 雪の当たり方
- 前回の塗料の種類
同じ築10年でも、状態はまったく違います。
私たちは必ず現地で、
- 手で触る
- 光の当たり方を見る
- 角度を変えて確認する
ということをしています。
目で見るだけでは分からない情報が、
指先から伝わることもあるからです。
5. 「塗ること」が目的ではありません
木部塗装は、ただ色を付ける作業ではありません。
- 木を守ること
- 水の侵入を防ぐこと
- 乾燥と湿潤のバランスを整えること
その結果として、美しさが保たれます。
特に東信地区のような寒冷地では、
塗膜がしっかり機能しているかどうかが建物寿命に直結します。
6. 私たちが大切にしていること
さとう塗そうは1963年創業。
東信地区に根ざして60年以上になります。
木部塗装では特に、
- 材質を見極める
- 劣化段階を判断する
- 下地処理を徹底する
- 塗り回数を調整する
この流れをとても大切にしています。
「2回塗りだから2回」ではなく、
その建物にとって最適な回数を考える。
それが、長持ちにつながると信じています( *´꒳`*)
7. まずは“今の状態”を知ることから
もし今、
- デッキが白っぽくなっている
- 手で触ると粉が付く
- ところどころ黒ずんでいる
そんな状態であれば、
一度しっかり現状を確認することをおすすめします。
急いで工事を決める必要はありません。
大切なのは、
今どの段階にいるのかを知ること。
そこが分かれば、
半年後なのか、来年なのか、
最適なタイミングも見えてきます。
木は、生きている素材です。
だからこそ、扱い方次第で寿命は大きく変わります。
色の濃淡の違いも、
塗り回数の調整も、
すべては建物全体の調和と耐久性のため。
もし木部の状態で気になることがあれば、
まずはお話を聞かせてください。
一緒に、今の状態を整理し、
これから先どう守っていくかを考えさせていただければと思います。
大切な建物が、
これからも気持ちよく使い続けられるように。
木の表情を活かしながら、
しっかり守る塗装を、これからも丁寧に行っていきます。
本日もさとう塗そうの【塗装のあれこれブログ】をご覧いただき、ありがとうございました。